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STP分析の正しいやり方とは?【わかりやすく解説】

困っているひと
セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングのSTP分析をやりたいのですが、どのようにやればいいか分かりません。初心者でも分かりやすくSTP分析のやり方を教えてください。

 

こんな悩みを解決します。

 

高級アイスクリームと言えば「ハーゲンダッツ」、3rd Placeと言えば「スターバックスコーヒー」と言うように、自社の商品・サービスが「●●と言えば・・・」と消費者の頭の中で1番に浮かぶようにすることは、マーケターにとって理想であり、醍醐味ですよね。

今回はそんな理想を実現する「STP分析」について解説していきたいと思います。

 

STPはマーケティングの命です。

 

その理由は、STPが曖昧だと「商品を届けたい相手」が不明確になってしまうからです。

 

消費者は1人ひとり異なるニーズを持っていて、企業はそのニーズを満たす商品を作ることで利益を得ます。

 

理想的には1人ひとりのニーズに合わせて商品をつくるのが理想ですが、コストを考えると現実的ではありません。

そこで、「似たようなニーズを持つユーザーグループをつくって、マーケティングをすることで、最も効率的に利益を創出する」ことがSTP分析の役割です。

 

正しいS→T→Pのステップを踏まえることができれば、ブランドづくりだけでなく、マーケティング施策(4P)の効果を最大限に発揮できますよ。

 

早速見ていきましょう

 

STP分析のやり方とは?

STPとは、S(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の略です。マーケティング戦略において、どんなターゲットを狙い、どう競合と差別化するのか決めるのがSTP分析の目的です。

 

STP分析のやり方は、頭文字の順番S→T→Pの順番で進めます。

 

最終的にはP(ポジショニング)を定めることがゴールです。「ポジショニングを取る」ということは言い換えると、「新しい市場機会をつくること」と言われます。

 

これまでの市場には既に数多くの1番が存在しています。

 

コーラと言えば、多くの人が「コカコーラ」を思い浮かべるでしょう。朝飲むコーヒーと言えば「ワンダ モーニングショット」、お酒の弱い人でも飲める缶チューハイと言えば「ほろよい」など、細分化された市場には既に1番乗りのブランドあります。

 

消費者の頭の中から、この1番をひっくり返す事はとても難しいです。

 

なのでSTP分析では、消費者をよく観察し、深層心理を発見する事で、商品に新しい価値を見出すことを目指します。

 

STP分析の手順

STP分析の手順は、以下の通りです。

  • 手順①:ユーザーのニーズを洗い出す
  • 手順②:同質のニーズを持つユーザーグループをつくる(セグメンテーション)
  • 手順③:自社が狙うべきターゲットを絞る(ターゲティング)
  • 手順④:ターゲットの頭の中で1番を獲得する(ポジショニング)

 

1つ1つが大事なステップです。丁寧にやることで、次のステップがとても充実するのでしっかりみていきましょう。

 

手順①:ユーザーのニーズを洗い出す

手順①:ユーザーのニーズを洗い出す

 

まずはじめに、ユーザーが商品に求めている価値とはなんでしょうか?

僕の好きなカメラを例にして考えたいと思います。

 

下図のように、カメラを欲しい理由は人によって様々です。

今ではスマートフォンの画質もすごく良くなっているので、「スマートフォンでは撮れない写真が撮りたい。」というのは共通しているかもしれませんが、カメラを買うことで思い描く姿は人それぞれでしょう。

ウォンツは一緒でも潜在ニーズは人によって異なる

 

また、「思い出に残したい」というニーズを持っている人でも、その人たちのことをもっと知ると、さらに細かく分けることができます。

 

例えば、誰といる瞬間を思い出に残したいのでしょうか?恋人、家族・子供、友達など相手によって写真を撮るシチュエーションが変わりますね。

他にも、どこにいるときの思い出を残したいのでしょうか?旅行に行った時かもしれませんし、何気ない毎日かもしれません。

カメラ機器に注目すれば、ハイエンドな高性能カメラから、ある程度の品質で低価格・軽さを重視したものまで、求めるレベル感もそれぞれ違うでしょう。

 

このように、たくさんのニーズを洗い出していく作業が最初のステップです。

 

様々なリサーチ・ユーザーインタビューの手法

ここでは、代表的な方法として、マーケティングリサーチやユーザーインタビューについてご紹介します。

下図のように定量調査・定性調査とさまざまなやり方があります。

定量調査というのは、集めたデータを数値化できる調査です。調査結果を統計的に分析することができます。

定性調査というのは、対象者の言葉や仕草、感情、行動など数値化できないデータを収集する調査です。

 

マーケティングは、一人ひとりの価値観や気持ちに寄り添うことが大切なので、定性調査がとても重要です。しかし、良し悪しを評価する際には、個人の意見に振り回されないようにするため、定量調査も必ず必要です。

 

手順②:同質のニーズを持つユーザーグループをつくる(セグメンテーション)

手順②:同質のニーズを持つユーザーグループをつくる(セグメンテーション)

 

理想的に言えば、一人ひとりのニーズにあった商品を作ることができれば最高です。しかし、カメラを例に出せば高額な部品をオーダーメイドで組み合わせて作るのは現実的ではありません。

そのため、ある程度の規模になるように、似たニーズを持つユーザーグループを作ります。これがセグメンテーションです。

 

セグメンテーションには2つのやり方があります。

  1. 商品を使うシチュエーションを考える
  2. 代表的な分類例を用いる

それぞれみていきましょう。

 

①:商品を使うシチュエーションを考える

手順①でたくさん洗い出したニーズで、それぞれ商品を使う・求めるシチュエーションを想像します。

再びカメラの例で、「思い出に残したい」というニーズでも、「誰が」「どんな時に」「誰と」「どのように」を想像していくと、提供するべき価値が見えてきます。

  • ニーズ → 思い出に残したい
  • 誰が → 最近ママになった女性
  • どんな時に → 日常の中で
  • 誰と → 家族(特に子供)
  • どのように → 成長の過程を記録してアルバムにしたい

 

となると、カメラが提供するべき中核となる価値は、「子供の成長において大事な瞬間を逃さない」かもしれません。

そうなると、常に持ち歩けるサイズだったり、動き回る子供をちゃんと捉えるオートフォーカスだったり、日付が入る機能だったり、カメラが提供する機能も見えていくでしょう。

また、もう少し抽象化すると「女性が日々の中で大事な瞬間を逃さない」というようにすればマーケットのサイズも広がります。

 

このようにシチュエーションを想像したり抽象化したりすることで、適切なマーケットサイズになるようセグメンテーションを行います。

 

②:代表的な分類例を用いる

もう1つのやり方として、代表的な分類例を用いる方法です。

 

セグメンテーションの切り口として、以下のような分類が使われます。

  • デモグラフィック(人口動態変数:地方、気候、人口密度etc..)
  • ジオグラフィック(地理的変数:年齢、性別、家族構成、所得etc..)
  • サイコグラフィック(心理的変数:ライフスタイル、価値観etc..)
  • 行動変数(求める価値、使用率etc..)

 

これらの切り口のいいところは、既にユーザーの頭の中にある既成概念に割り込むことができることです。

 

例えば、ジオグラフィック(地理的変数)では「北海道限定」というようにご当地感を訴求したり、「梅雨対策」というように季節の共通の悩みの解決を訴求したりすることができます。

デモグラフィック(人口動態変数)では、「少年マガジン」「男性限定サウナ」など、性別でターゲットを特定することで自分自身との親和性を感じさせることができます。

これらを通じて「商品が自分のためにある」と感じてもらいやすくなります。

 

しかし、このデメリットは、一人ひとりのニーズに寄り添うことができないことです。性別やライフスタイル、職業などでまとめてしまうため、先ほどのようなシチュエーションで感じた瞬間的なニーズに応えるというわけにはいきません。

 

どちらも有効な方法ではありますが、状況に応じて使い分けたり組み合わせたりしましょう。

 

手順③:自社が狙うべきターゲットを絞る(ターゲティング)

手順③:自社が狙うべきターゲットを絞る(ターゲティング)

 

セグメンテーションで似たニーズを持つグループを作ることができたら、次はいよいよどのグループを狙うかを決めていきます。これをターゲティングと言います。

 

ターゲティングでは、「自社が勝てる魅力的な市場なのか?」を検証していきます。

 

その主な方法は、「セグメントが6つのRを満たしているか?」です。

 

6つのRとは、以下のように6つのRから始まる単語です。

  • 規模は十分にあるか?(Realistic Scale)
  • 成長性はあるか?(Rate of Growth)
  • 競合状況はどうか?(Rival)
  • 顧客の優先順位は?(Rank)/波及効果は?(Ripple Effect)
  • 到達可能か?(Reach)
  • 反応は測定可能か?(Response)

 

これらはそれぞれの指標を総合的に捉えて判断する必要があります。

なぜなら、1つの指標がとびきり優れていたとしても、その本当の姿が期待している姿とは限らないからです。

 

例えば、市場規模が十分に大きくて、競合も比較的少ない市場だったとします。一見、魅力的な市場に見えますが、実は成長性はどんどん下がっていて既に衰退途中にある市場だった、ということもあります。

 

他にも、規模も成長性も競合状況も優れていても、インターネットが必要なサービスにおいて、ターゲットがインターネットを使うことが困難な状況にある場合、サービスを届けるのがとても難しくなってしまいます。

 

一見、当たり前のことのように思えますが、調査・分析が多くなっていくと頭も疲れてきてしまうので、このように現実に起こりうる様々な状況について見落としてしまうことが多々あります。

そのため、6つのRをチェックシートのように考えていくことで、「本当に自社が勝てる魅力的な市場なのか?」を見極めることが可能です。

 

手順④:ターゲットの頭の中で1番を獲得する(ポジショニング)

手順④:ターゲットの頭の中で1番を獲得する(ポジショニング)

最後にポジショニングについてご紹介します。ポジショニングとは、「新しい市場機会をつくること」と言ったり「消費者の頭の中で1番を獲得する」と言ったりします。

 

ポジショニングを取ることは商品をマーケティングしていく上でとても重要です。

なぜなら、消費者の中で1番になれなければ、選んでもらえることが少なくなってしまうからです。そもそも認識すらされないかもしれません。

 

例えば、「日本で1番高い山と言えば富士山ですが、日本で2番目に高い山は?」「日本で1番人口が多いのは東京ですが、2番目は?」というように1番は多くの人が認識できますが、2番目以降は認識すらされない事が多いです。2番目までは何とか知っていても3番目はどうでしょう?

 

このように、「●●な〇〇(ポジショニング)と言えば▲▲(商品・サービス名)だよね」と真っ先に認識してもらうことを目指すのがポジショニングだと思っていただければと思います。

 

ポジションニングについては2つのポイントをご紹介します。

  1. ポジショニングマップを描く
  2. ポジショニング成功のための4つのポイント

 

それぞれ見ていきたいと思います。

 

①:ポジショニングマップの描き方を紹介

ポジショニングマップとは、2つ軸を設定し、その中で自社と競合の関係を明確にするのに役立つ手法です。

例えば、下図のようなイメージです。

ポジショニングマップのイメージ

 

これを描く事によって、自社の商品・サービスが消費者の頭の中でどこを目指すのかを明らかにする事が可能です。

上記のケースだと、「自宅で楽しめる高価格ヘアケア商品と言えば・・・」と消費者の中で1番になるよう商品開発・コミュニケーション戦略を打っていくことになりますね。

 

ポジショニングマップでは通常2軸で描きます。3軸、4軸・・・といくつもの判断軸が存在することはありますが、基本的には2軸で書いてください。

その理由は、消費者であっても、商品企画であっても人間は通常、2つや3つまでしか大事なことは覚えていられないからです。なので、最も重要なポイント2つに絞って徹底的に訴求していきましょう。

 

例えば、ハーゲンダッツは高級アイスクリームのポジショニングを獲得しています。同社の理念である「完璧を目指す」の下、厳選された素材を用いたアイスクリームの製造を行なっていますが、多くの消費者にとっては「素材が何であるか」よりも「最高の素材を使っているから高い→高級」という方がシンプルであり伝わりやすいメッセージです。

 

裏では、原産地を選び抜き最高品質のフレーバーを得るために世界中を駆け巡っていますが、表に出しているのは「プレミアム感」のみです。

多くの企業が裏でものすごい経営努力をしているのは理解した上で、マーケティングをする上ではいかにも澄ました顔でスマートに実現できているように見える方がイケてるのです。

 

3軸、4軸・・・と色々考えたり、自社の企業努力をついつい伝えたくなってしまいがちですが、「2軸」で消費者にとって「最も重要なポイント2つ」に絞って徹底的に訴求するようにしましょう。

 

②:ポジショニング成功のための4つのポイント

ポジショニングを成功させるには4つポイントが満たされている事が重要です。

 

4つのポイントとは、下記の通りです。

  • 誰のため?(=ターゲット像が明確?)
  • これの何がいいの?(=1番大事な提供価値が一言で言える?)
  • 分かりやすい?(=明快なコミュニケーションメッセージある?)
  • これまでと矛盾してない?(既存商品や企業ブランドとの整合できている?)

 

ポジショニングとは、消費者の頭の中で1番になる事なので、多くの消費者が直感的に理解しやすいポジション・メッセージでないといけません。

消費者はこれまでの経験や体験から自分との親和性を感じとるので、ターゲットの中でより多くの人が共感するものが良いでしょう。

 

手順①〜手順③までしっかりとステップが踏まれていれば、難しい事ではありません。

 

ですが、ポジショニングを整理する上で大事なチェックポイントなので、丁寧に言葉の整理をしてください。

 

まとめ:徹底的に "届けたい相手" に寄り添おう!

まとめ:徹底的に "届けたい相手" に寄り添おう!

 

いかがだったでしょうか?STPはそれぞれのステップがとても大切なので、何度もこの記事を見返しながら進めていただけたら嬉しいです。

 

STPが上手くいく秘訣は、ひとりで考えるのではなく、ステップごとに様々なメンバーと意見を出し合い、納得感を得た上で進んでいくことです。

 

しかし、気をつけて欲しいのは、あくまでもマーケティングは「全ての人のため」ではなく「特定の誰かのため」のものです。みんなで意見を出し合った結果、みんなの折衷案にならないように注意してください。

 

STPがしっかりできるとマーケティング施策が綺麗に立案できてとても楽しいと思います。ぜひ、一緒に頑張りましょう。

 

今回は以上です。

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